川の闇を転がる火の玉
どんな伝承か
鈴木重光の『相州内郷村話』によれば、津久井郡内郷村では、夜中に川へ漁に出ると、真っ暗な中を大きな火の玉が転がってゆくことがあった。そんなときは河原の石を洗い清め、その上に獲れた魚を供える。すると火の玉は転がるのをやめるという。投網を打ちに行けば、姿は見えないのに少し先で同じように網を打つ者の気配がし、大勢の人声や松明の火が盛んに見えるのに、行ってみると誰もいない。土地ではこれらを川天狗と呼んでいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・岩井宏実による妖怪事典『暮しの中の妖怪たち』。日本各地の妖怪を暮しの空間(山・海・道・家・屋敷)ごとに、約六十項目にわたり具体例とともに解説する。