正月二十四日夜に訪れる海難法師
どんな伝承か
伊豆七島では正月二十四日の夜に、水死者の霊である海難法師が訪れると伝える。これに出会えば悪いことが起こるとされ、島の人々は身を浄めて家にこもり、外へ一歩も出ない。由来はこうである。昔、伊豆大島の代官が島民を苦しめたため、島の若者二十五人が代官を襲って殺した。追っ手を逃れて丸木舟で海へ出たところ、暴風雨にあって舟が転覆し、二十五人はみな死んでしまった。それが正月二十四日の夜のことで、その亡霊が海難法師となって現れるのだという。
原典より
その舟からはヨイヨイという掛け声が聞こえてくるという—— 暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。