田沼町の橋渡し儀礼
どんな伝承か
産育儀式の一つに「橋渡し」があり、全国各地にみられる。生後七日目の七日祝(お七夜)に新生児の初外出が行なわれ、このとき初めて橋のところへ抱いていって橋を渡らせる。栃木県安蘇郡田沼町では三つの橋を渡り、その際に白米を持参して、渡った橋の左右にまくのである。新生児の霊魂は他界から現世へ赴いたばかりできわめて不安定で、いつ他界へ戻りかねないという不安があった。三つの橋を渡らせるのは確実に霊魂を現世へ確保するためであり、白米をまくのは稲霊の呪力に頼ったものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・岩井宏実による妖怪事典『暮しの中の妖怪たち』。日本各地の妖怪を暮しの空間(山・海・道・家・屋敷)ごとに、約六十項目にわたり具体例とともに解説する。