猛吹雪の墓前で行われた霊魂実験
どんな伝承か
老婦人が生前に書いた誓文にもとづき、死後四十九日目の一月三十一日、弘前市徳増寺の墓前で霊魂の実験が行われた。この日は前日までの好天気が打って変わり、朝から猛吹雪であった。著者は医学部研究室の友人たちを総動員して午前十時ごろ橇で機具類を運び、一メートル以上積もった墓の周囲の雪を掘り起こして真新しいテントで囲い、内部を薄暗くした。テント内は無風で、気温は昼が零下四度、夜は零下六度であった。友人を全員帰して一人になった著者は、瞑目して般若心経を唱えながら五秒ごとにシャッターを切ったが、糸輪は動かず、紙に字も書かれなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。