熊野詣での前に祓った賀茂の七瀬
どんな伝承か
水には穢れを落とす力があると考えられた。平安時代には、熊野などへ参詣する前に、夕方になってから京都の賀茂の河原や七瀬で祓いをする決まりになっていた。七瀬とは、川合、耳聰川、東滝、松崎、石影、西滝、大井河などの祓いの場所をいう。川や滝の水に身を清める力があるとされたことを示す例であり、滝そのものを神体とする熊野の飛滝神社などとともに挙げられている。
原典より
水に、穢れを落さしめる力があると考えられたのも、水の信仰であるが、古く平安時代には、熊野などに参る前には、晩方になって、賀茂の河原や七瀬で祓をすることになっていた。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。