臨月に犬を贈るデブルマイ
どんな伝承か
妊娠や出産は古くから宗教的な現象として捉えられてきた。肥前五島では妊娠すると親戚や懇意な者が妊婦を招いてもてなすネブルマイという行事があり、山梨県や長野県上伊那郡でも同様の妊娠祝いが行われていた。臨月になると、相州藤枝や駿河の志太郡などではデブルマイと称し、媒酌人や親戚から犬を贈って祝う習わしがあった。犬は安産する動物とされ、それにちなんで戌の日が選ばれるのが普通だったという。
原典より
さらに臨月になると、デブルマイと称し、相州藤枝、駿河の志太郡などでは、媒酌人および親戚から犬を送って祝うのである。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。