人型とクダ狐を背負う口寄せ巫女
どんな伝承か
長野県小県郡殿城村には、農閑期になると村々をまわってくるヌノウと称する口寄せ巫女がいた。その背負って歩く箱の中には、人型とクダ狐とを入れていたという。同じような例は各地にあり、横須賀市では先年九十歳で死んだ婆さんがクダ狐をマッチ箱ほどの小箱に入れて飼っていたといい、山梨県南巨摩郡三里村では正月や盆などにイチッコがまわってきたという。狐を憑けたり落としたりするのは、修験や巫女といった専門の行者の業とされていた。
原典より
長野県小県郡殿城村(現・上田市)では農閑期にまわってくるヌノウと称する口寄せ巫女が、その背負って歩く箱に人型とクダ狐とを入れていたという—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。