幸谷の伊勢詣りとオダテの米
どんな伝承か
東葛飾郡の東の外れにあたる馬橋村の幸谷では、この習俗を伊勢詣りと呼ぶ。曹洞宗の寺の檀家の間で今も広く、しかも厳重に守られている。出棺の前、その家へ働きに来ている者が、オダテという目の粗い莚のような物に米を少しくるみ、両端を縄で縛ったものと、笠と柄杓とを携えて葬家を出て、寺の本堂まで運ぶ。その者が戻ってしばらくすると出棺となる。隣の小金町二木でも同じ伊勢詣りがあり、浄土宗の寺の檀家では運ぶ役が組中の順番で回り、オダテに包むのは米一升と銭一銭と定まっている。本堂の中まで入れる者もあれば、縁に置いてくる者もあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。