初島の掘っ立て小屋での四か月の喪
どんな伝承か
伊豆の熱海の目先に浮かぶ初島でも、親の喪にあった者は、人家からすこし離れた所に掘っ立て小屋をつくり、その中に四か月のあいだ籠るのであった。そのあいだ食物は親類縁者が運んでくれ、水は別の井戸から汲んだ。ここでは親の喪にあたる場合だけ、このような隔離の生活が行われたという。伊豆諸島には神津島のイミヤ、新島のカドヤなど、同じ類の小屋が近いころまで見られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。