利仁神社の小石と麻疹除け
どんな伝承か
下野本の利仁神社には、子供の麻疹除けの言い伝えがある。春先に麻疹がはやり出すと、五里も六里も離れた所からも親が子を連れて参拝し、境内の小石を一つ借りて帰った。小石は小袋に入れて子の帯に下げておくと、不思議と麻疹にかからないか、かかっても軽く済んだという。お礼参りには川できれいな小石を拾い、借りた石と合わせて二つにして袋に入れて納めたので、かつては社殿の狐格子に色とりどりの小石入りの袋がたくさん下がっていた。将軍が熱を出したとき枕石で頭を冷やしたことにならい、その代わりに庭の石を借りるようになったのではないかと推し量る村人もいる。
原典より
すると不思議に麻疹にかからなかったり、かかっても軽くすんだちゅうので、きれいな小石を川から拾って来てお借りしたのと二にして小袋に入れてお礼参りに来たもんで、…—— 東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)
『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市の市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。多くは会話を交えた物語の形で書かれ、筆者が幼い頃に母から聞いた話や古老から聞いたままの話も含み、末尾に〔 〕で由緒や文献の注を添える。