いえの山の稲荷と火事を知らせる鳴き声
どんな伝承か
中田の東の端、畔屋との境に稲荷さんと呼ぶ山があり、そこに小さな社が建つ。いえの山の稲荷さんといい、子供好きで子供を守ってくれると信じられていた。粗相があってはならぬと社に戸を立てたところ、風邪をひいたり怪我をしたりする子が続いたので、あわてて戸を外したという。火事や変事が起きるとクワイクワイと鳴いて急を知らせるともいう。ある朝、囲炉裏の縁から板の間、土台まで焼けていたが、新しい桶のたがが切れて水が流れ出たおかげで大事に至らなかった。稲荷が鳴いて火を消したのだろうと村人は油揚げを供えた。風当ての脇の提灯がみな焼けてもカヤに燃え移らなかった晩も、稲荷は激しく鳴いていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信(柏崎市(編)・柏崎市史)
『柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信』は、柏崎市史の資料集として編まれた民俗篇のうち、第四章「文化伝承」の信仰にかかわる部分を収める。柏崎市域のムラの神社とまつり、雨乞い・虫送りなどの祈願、家の神と屋敷神、民間小祠と路傍の石仏、寺と行事、修験、庚申講や米山講などの講を、聞き書きと「白川風土記」「神社明細帳」などの記録から記す。第六節「俗信」では予兆・占い・禁忌を分類して列挙し、昭和五十八年の熱田神社の年占の結果も載せる。