谷根の稲荷まつりと勧請の古記録
どんな伝承か
谷根では稲荷のまつりが山の神まつりと一体になっている。二月八日から十日までの行事のうち、初午にあたる九日が稲荷の日である。当日は女衆が朝からご馳走の支度に追われるが、小豆飯や赤飯だけは男衆が炊く決まりで、祭祀を務めるのも男の役目とされる。午前九時ごろ太鼓で村人に開始を知らせ、子供を集めて「正一位稲荷大明神」の大幟を立て、ワノウチと呼ぶ字ごとに稲荷社を巡る。供えるのは重箱いっぱいの団子と、棧俵に載せた小豆飯や赤飯、干鰯二、三尾、それに神酒で、終わると山の神の宿へ戻って酒盛りになる。この村には嘉永五年(一八五二)、小林市右衛門が城州紀伊郡の稲荷本社から稲荷社を勧請したという古い記録が残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信(柏崎市(編)・柏崎市史)
『柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信』は、柏崎市史の資料集として編まれた民俗篇のうち、第四章「文化伝承」の信仰にかかわる部分を収める。柏崎市域のムラの神社とまつり、雨乞い・虫送りなどの祈願、家の神と屋敷神、民間小祠と路傍の石仏、寺と行事、修験、庚申講や米山講などの講を、聞き書きと「白川風土記」「神社明細帳」などの記録から記す。第六節「俗信」では予兆・占い・禁忌を分類して列挙し、昭和五十八年の熱田神社の年占の結果も載せる。