尾花で魂を招き戻す今帰仁のマブイコメ
どんな伝承か
呼び戻しには、名を呼ぶ、枡の底をたたく、死者の着物を振る、笠や扇で招くなどのやり方がある。沖縄では、ひどく驚くと魂が体から離れると信じられ、これを魂落としという。離れた魂が家の近くにいるうちは祖母や母が厠の神に供えるくらいで戻るが、遠くへさまよい出ると巫女に頼み、落とした場所で魂込めをしなければならず、墓地にいるときが最も危ない。今帰仁では、子どもが驚いて魂を落とした場所へ花と米と酒を持って行き、尾花を結んで魂を招き、小石を三つ拾って、尾花を振りながら魂をなだめつつ家へ連れ帰る。家ではごちそうを整え、膳に水を入れた茶碗と小刀を置き、門口で子の名を呼んで迎え入れるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。