エイを腹に乗せた狂言死
どんな伝承か
貧しさゆえ年を越せない夫婦がいた。年の暮れ、毎日のように借銭取りが催促に来る。困った夫は一計を案じ、魚屋で大きなエイを買って腹を裂き、それを自分の腹に乗せて死んだふりをした。借銭取りが来ると、妻がろうそくと線香を灯して泣いており、白い着物姿の夫が横たわり腹には血がにじんでいる。妻が『取り立てが厳しく夫は腹を切って死んだ』と言うと、借銭取りは同情し借用書を返し香典まで置いて帰った。血に見えたのはエイの白い腹だった。以来エイをエイガンチョウと呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史)
『河内町史 民俗編――昔話・伝説』は、河内町の町史の民俗編のうち、子守歌と昔話・伝説を収めた部分である。継子譚・異類婚姻譚・愚か婿など全国に分布する型の昔話と、岩戸の観音や金峰山、小野小町、弘法大師にまつわる土地の伝説を、伝承者の名を添えて記す。昔話と伝説の違いを述べた前置きに続いて第一話から第三十八話まで番号を振って並べ、話ごとに話型の名や類話の広がりを短く解説する。