金を貸し続けたあんじょさんの供養
どんな伝承か
越後の方から国々の霊場をめぐって善光寺へ辿り着いた、あんじょさんと呼ばれる一人の巡礼があった。二、三日おこもりをして北国街道を南に下り、坂木に着いて満泉寺や大英寺で一生懸命におこもりをした。人々に勧められて坂木に住むことになり、ちょうど空いていた日名沢のお堂に旅装を解いた。頼まれれば経も喜んで上げ、金を無心されても期限や利息を言わずに快く用立て、返さない人を催促することもなかった。明治五年十一月十九日に眠るような大往生を遂げ、堂の北の空地に葬られた。借りた人々は相談して法事を営むことに決め、明治八年十一月十八日に初めての供養が行われ、以後毎年続けられている。
原典より
あんじょさんは、どんなときでも、いつも笑顔で、私にできることならといって、心よく用立ててくれた。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。