油揚げを好む憑依霊との問答
どんな伝承か
谷口雅春は大正七年九月に綾部の大本を訪れ、翌年三月に移り住んだ。大本の世界観を初めは人生を妖怪化するものと反発したが、鎮魂帰神を受けてみると、生まれたときから自分に憑いていたという霊が自分の口を借りて語り出した。審神者が名を問うとミクルミヒコノミコトと名乗り、好物は油揚げだと答えた。谷口自身も油揚げや天ぷらが大好きだった。霊はさらに、この体の父親に陥れられて殺された恨みから、息子に父を殺させようとしていたと明かした。谷口は父を殺そうと思ったことが実際にあったと告白し、恋愛の感情さえ憑き物に左右されていたと驚いている。
原典より
私は私の口を使ってなされるこの会話に驚いてゐました。—— 鎮魂行法論――近代神道世界の霊魂論と身体論(津城寛文・津城寛文・宗教学) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鎮魂行法論――近代神道世界の霊魂論と身体論(津城寛文・津城寛文・宗教学)
『鎮魂行法論――近代神道世界の霊魂論と身体論』は、津城寛文が著し、春秋社から刊行された宗教学の研究書である。本田親徳・出口王仁三郎・浅野和三郎・友清歓真・川面凡児・田中治吾平・宮地水位など、近代以降の神道界とその周辺に現れた鎮魂行法家の系譜をたどり、その鎮魂帰神説や霊魂観をシャーマニズム研究の観点から整理する。序章と全七章からなり、第一章で行法家の群像を描き、第七章では「宗教的身体境界」の考え方によって鎮魂行法を類型化する。