鎮魂帰神の初体験と自動運動
どんな伝承か
講演の後、役員から鎮魂帰神の実習に移ると告げられ、講演を聴いた七、八十名が全員残った。浅野和三郎の総指揮のもと、岩田・森ら審神者が指導に当たった。著者は最前列に坐り、坐り方や指の組み方の説明を受けて端坐瞑目した。審神者の拍手と石笛の澄んだ音、天の数歌の神歌が場内に満ちるうち、著者は好い気分に引き込まれ、指・手・腕・全身の順に感覚が失われていった。その瞬間、組んだ指先がピクッと動き出し、両腕が意志と無関係に上下運動を始めた。止めようと思えば止まるが、放っておくと激しく動いた。審神者が憑いた霊の名を問うたが声による返答はなく、首の縦横でイエス・ノーの意志表示が示されたという。
原典より
その瞬間でした、俄然、組んだ指先がピクッ、ピクッと動き出したのは。—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。