三豊郡の屋敷にトンボ神を祀る家
どんな伝承か
四国の讃岐は憑きもの筋の比較的少ない地方だが、それでも行者型に近い憑きもの筋が無いわけではないらしい。細川敏太郎の紹介によれば、香川県三豊郡のある村に、屋敷の中に本当に塚を築いてトンボ神を祀り、それを追い回したりお祓いをしたりしていた家があったという。この地方では憑きもの筋といっても一つの集落に一戸あるかないかだが、そのまれな家ではたいてい屋敷内や裏の藪に石を積み上げたトンボ神の祭壇がほぼおおっぴらに設けられているらしく、多数地帯の山陰では考えられない様子だという。
原典より
たとえば細川敏太郎氏が紹介された三豊郡のある村で、屋敷内に実際に塚を築いてトンボ神を祀り、それを追いかけたりお祓いをしたりしていた家があったというが如きがそれである(民間伝承一四の七、細川敏太郎氏稿)。—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。