意地が悪いと評されたオサキモチのTK氏
どんな伝承か
群馬県多野郡のS部落で、オサキモチとされるTK氏(六十八歳)は意地が悪く、人と力を合わせようとしなかった。畑の手伝いを頼むと自分もすぐそばで鍬を振るうので、頼まれた人は手を速めるしかなく、疲れて翌日は寝込んでしまう。昔は馬を引いて細い道を通るとき、すれ違う相手が道をよけないと、黙ってその人を叩くようなことも平気でしたという。村には、嫌われる性格の人ほどオサキモチと言われやすいという見方もあったが、TK家は彼の代より前からオサキモチだったので、その説がどこまで当たるかは分からないとされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの(吉田禎吾・民俗・憑きもの研究・1972年(昭和47年))
『日本の憑きもの』は、吉田禎吾が一九七二年に著した人類学の研究書である。キツネ・イヌガミ・オサキなどの憑きもの信仰と、それを家筋で伝える憑きもの筋を、島根・高知・大分などの村での調査事例と古記録をもとに取り上げ、アフリカやヨーロッパの邪術・妖術と比べて論じる。三章立てで、憑きものの正体と特色、憑きもの筋の形成と伝播、憑きものが村落社会で果たす働きを順に述べ、注とあとがきを付ける。