国光の精が告げた化け猫退治
どんな伝承か
下総古河の城主は名刀国光の脇差を秘蔵していた。ある夜、夢に白髪の翁が現れ「明夜、化け物があなたを悩ませるだろう。私は常に納戸にしまわれ側にいないため怪物が狙うのだ。国光の精である私を用いて退治してほしい」と告げて覚めた。城主は翌朝、国光の脇差を取り寄せ夜を待った。夜更け、青ざめた大女が障子を開けて寝所に忍び寄ってきた。飛びかかろうとするのを見澄まし、眠ったふりをしていた城主は脇差で抜き討ちに斬りつけた。女は悲鳴を上げ障子を蹴破って風のように逃げ去った。夜が明けて血の跡をたどると、庭の石垣の穴の中に大きな猫が斬られて死んでいた。
原典より
夜明けて血をたよりに探し求めると、庭の石垣の穴に大猫が斬りつけられて死んでゐた。—— 民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)
『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。