二百年後に掘れと言い残した入定僧
どんな伝承か
光西上人は、鉦をたたきながら穴の中に入り、この鉦の音が鳴りやんだら埋めてくれと言い残したという。そして百年ほど経ってから掘ったとも語られ、それに立ち会った人がいたそうだ。文献によれば、大日堂の地蔵堂の裏手、蓑毛川に面して光西上人の墓がある。上人は二百数十年前、曽屋の地に次男として生まれ、高野山で修行の後に帰郷し、閻魔堂に籠って大般若経六百巻の写経を成し遂げた。老齢で村人の厄介になることを恥じ、二百年たったら身体を掘るようにと言い残して入定した。二百年後、宝蓮寺の住職が夢うつつに発掘を頼むという声を聞き、掘ると古い貨幣と重い砂の塊が出て、洗うと二寸ばかりの仏像が現れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。