石室に入って果てた天徳寺の竜波和尚
どんな伝承か
久長の天徳寺の裏山にある墓地には、石垣ほどの高さの板石を六枚組み合わせた、箱の形をした墓がある。天徳寺の九代目の住職であった高琳竜波和尚の墓だと伝えられる。竜波和尚はある日、近所の人々を寺へ集め、墓所に石室を造ってほしいと頼んだ。いぶかる人々に、自分が入るのだと答えたという。石室ができあがると、和尚は鈴を手にして中へ入り、ひたすら読経を続けた。数日後の朝早く、前夜まで聞こえていた鈴の音がやんだので村人がのぞくと、和尚は鈴を握ったまま冷たくなっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。