水商売と子授けの願いを集めたおまんじゅうさん
どんな伝承か
秦野市南矢名の桂窪にあるお稲荷さんは、水商売の人と子授けを祈願する人とで、ずいぶんにぎわったものだという。語り手は子どものころ、そこに鳥居がたくさん並んでいたのを覚えていると語る。この稲荷は「おまんじゅうさん」と呼ばれた。話は下大槻で採録された。同書は、市内の祠堂の伝説二七話のうち約三分の一を、子授け・安産・子供の病気など医療に関する切実な願いを託す民間信仰的な神仏の伝説が占め、なかには遠方から大勢の参詣があるほど流行したものもあったと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。