罪深い者を挟む若杉山の袖摺岩
どんな伝承か
若杉山の頂から奥の院へ下る岩場に、袖摺岩という難所がある。巨大な二枚の岩が両側に切り立ってその間が道になり、足もとは急に落ち込んで、下の方は足一本がやっと立つほどの隙間しかない。悪いことをした人や罪深い人はこの岩に挟まれて通り抜けられないと言い伝えられ、挟み岩とも呼ばれる。茶屋の番をしていた古老によると、ある日悲鳴を聞いて見に行くと、中年の女が岩の間で真っ青になって震えていた。奥の院の僧が駆けつけて経を読み懺悔を勧めると、女は何事かを大声で叫び、やがて少しずつ体を動かしてようやく抜け出したという。今は岩間に鉄の鎖が取り付けられている。
原典より
この岩間を通る時には、悪いことをした人や、罪深い人は岩に挟まれて通り抜けることができないと言い伝えられています。—— 篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌)
『篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異』は、筑前の篠栗町の町誌民俗編から伝説の章を収めた部分である。鉾立山の玉依姫、若杉山の岩にまつわる弘法大師や鬼の伝承、薬師・地蔵・観音の霊験、平家岩や古井戸の言い伝えを番号つきの項で並べ、『筑前国続風土記』などの地誌や説明板の文を引く。後半では狐に化かされた話や狐憑き、狸の法座、巷の笑い話、若杉山の白蛇と杵蛇、河童の話を、古老の語りを交えて記す。