狸の投げ石と死んだふり
どんな伝承か
狸は人なつこい一方で、いたずらもする。夜の山道を歩いていると小石がばらばらと落ちてくることがあり、下を通る者を寄せつけないよう狸が山の小石を掻き落としているのだといわれた。時には石が物に当たってうなりを上げて飛んでくることもあり、これを狸の投げ石と呼んだ。狐や狸は煙草の匂いを嫌うので、怪しいと思ったときに一服すれば化かされないともいう。また狸はよく死んだふりをするといわれる。ある古老は裏山で柿の木に登って柿を食う狸を見つけたが棒が届かず、ふと思いついて狸が死んだと叫んで木を叩くと、狸は飛び降りて一目散に逃げていったと笑って話した。
原典より
これは狸が下を通る者が寄りつかないように、山の小石を掻き落すしわざと言われ、ときには小石が物に当って、ブーンと唸って飛んでくることもあって「狸の投げ石」と言いました。—— 篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌)
『篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異』は、筑前の篠栗町の町誌民俗編から伝説の章を収めた部分である。鉾立山の玉依姫、若杉山の岩にまつわる弘法大師や鬼の伝承、薬師・地蔵・観音の霊験、平家岩や古井戸の言い伝えを番号つきの項で並べ、『筑前国続風土記』などの地誌や説明板の文を引く。後半では狐に化かされた話や狐憑き、狸の法座、巷の笑い話、若杉山の白蛇と杵蛇、河童の話を、古老の語りを交えて記す。