屋根から飛び立つ人魂と呼び返し
どんな伝承か
霊魂は人の肉体とは別にあるという考え方が古来あり、あくびやくしゃみをした瞬間に魂が体から抜けるともいわれた。抜け出した状態が仮死であり、その段階で急いで呼びもどせば生き返ると考えられて、各地で魂を呼びもどす行事が行なわれた。『米沢雑事記』によれば、延宝の初め、御小納戸組の山田彦兵衛が秋の月夜に二、三人を伴って町廻りに出たところ、南町検断山田清右エ門の屋根から人魂が一つ飛び上がり、家の中では死人を呼び返す声がしていた。人魂は飛び上がるたびに呼び返され、それが二、三度に及んだという。呼び返しは屋根など高い所に上って死者の名を呼ぶのが常であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。