鼠の糞を薬にした家伝の療法書
どんな伝承か
怪我をしたときの手当てには、医者にかかることは滅多になく、代々伝えられてきた漢方的な処方やまじないが用いられた。高畠町鷲ノ口の小平善吉家に伝えられている文書「薬合法」には、鼠の糞を練り薬にして痛むところに張れば治る、桃の木の葉と鼠の糞を味噌で煮立てて痛む所を浸せば治る、と書かれている。足を踏み外したときは五月節句の笹巻の笹を黒焼きにして布に包み、酒に入れて患部につけよ、腰が痛むときは塩を炒って包み腰を温めよ、突き目には海老を布に包んで絞った水を目に入れよともある。初雪で目をこすると目の病気が直るとも広く言い伝えられてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。