笛と太鼓で女を探し歩く増田の男
どんな伝承か
脇野沢に伝わる笑話。増田の男が、通りかかった旅の女に一目惚れをした。友人と二人でその女を探しに出かけ、自分は笛を持ち、友人には太鼓を持たせて村々を巡り歩いた。女が通ると「ありゃしたしただ、こりゃしたしただ」――あれはそうか、これはそうか――と太鼓を叩く。すると「あれでもないやフイダラフイ、これでもないやフイダラフイ」と笛で答える。あてのない人探しをテーマとした話で、子どもたちはこの太鼓と笛の掛け合いの調子のおかしさを大喜びで笑ったのであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。