十艘の船が分かれた二つの泊
どんな伝承か
武士泊は脇野沢と佐井の境にあたる集落である。武士を乗せた十艘の船のうち、一艘が武士泊へ寄り、残る九艘が嵐を避けて九艘泊に停まったことから、それぞれの地名が付いたといわれている。武士泊の浜は春になると鰯網の番屋が軒を連ね、その賑やかな風情が今も昔語りの中に姿をとどめている。一方の九艘泊は脇野沢村の最西端にある集落で、その九艘の船については、頼朝に追討された義経の船だったとも、殿様の乗った十艘のうち家来の九艘だったともいわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。