鷺が傷を癒した霊泉
どんな伝承か
瀬野川をさかのぼった先に、サギの湯という地名がある。冷泉が湧き出ており、鷺がここへ飛んできて水を浴び、体の傷を癒したことからその名が付いたといわれる。山や海での仕事は荒っぽく、手足に傷を負うことも多かったが、この冷泉の水を一升瓶に詰めて持ち帰り、沸かしたもので手足を浸すと傷の治りが早いのだと語られてきた。また廻船が盛んだったころには、腐りにくい水だという理由で、これが流れ込む瀬野川の水が千石船の飲料水に使われたともいう。付近には湯沢、ヌカリ沢という地名がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。