貝の名を姓にした落人の一族
どんな伝承か
片貝の集落を開いたのは片川本家の先祖だと伝えられる。その先祖はもと前川といい、朝廷内の対立で一方の旗頭を務めたが、争いに敗れて一族もろとも追討される身となった。上方から逃れて落ちのびた先が、片貝地区のはずれを流れる片貝沢の奥だった。追われている以上もとの姓は名乗れないので、その沢にいた片貝という貝から一字を借り、片川と改めたという。やがて追手を恐れる必要もなくなり、沢の奥から現在の集落の地へ移り、そこを片貝と名づけた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。