姑と嫁が子を争う児裁判
どんな伝承か
船引町で採集された話の中に、名判官大岡越前守にまつわるものが二話ある。その一つは、一家で姑と嫁が同時に子を生み、どちらも男の子のほうをわが子だと主張して譲らず、ついに訴訟になるという、いわゆる大岡裁きの話である。越前守はこれを幼児の教えによって解決するという筋である。この型の話は『日本昔話名彙』に児裁判または名裁判として分類され、『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』にも載るが、昔話として採集された例はまだ少なく、珍しい話とされている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。