「ここ掘れ」と鳴いた犬と枯木の花
どんな伝承か
爺が山で拾ってきた三匹の犬の子のうち、神棚に置いて神様の飯を食べた一匹だけが育ち、利口な犬になった。犬は爺の着物の裾をくわえて裏山へ引き、「ここ掘れ」と鳴くので掘ると宝物がたくさん出た。借りた隣の家では汚い物ばかり出たので犬を殺し、埋めた上に柳を立てた。爺がその柳で臼を彫って餅を搗くと大判小判が出た。臼を借りた隣は腐れ物しか出ず、割いて焼いてしまう。爺がその灰を枯木に振ると花が咲き、殿様から褒美を受けたが、真似た隣の爺は灰を殿様の目に入れて罰せられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。