名医見宜が答えた灸の忌日
どんな伝承か
『草茅危言』に、大阪古林の名医見宜が鍼灸の禁忌を問われた逸話が伝わる。或る人が灸の忌日と禁穴を問うと、見宜は襟を正して、年中で灸をしてはならない日は正月元旦のみ、身の内で灸をしてはならない場所は眼玉だけだと答え、一技に通じた者の見識の高さを示したという。中井竹山はこれを卓見と称えて書き留め、日の吉凶に惑う俗信を戒める例として引いている。
原典より
見宜襟を正して、其伝授は年中にて灸すまじき日は正月元旦、身の内にて灸すまじき所は眼玉なりといえり、卓見というべし。—— 日本の俗信 第3――生活慣習と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1955年(昭和30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 第3――生活慣習と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1955年(昭和30年))
『日本の俗信 第3――生活慣習と迷信』は、文部省に設けられた迷信調査協議会が昭和三十年に編んだ調査報告書である。昭和二十四―五年の全国の国民慣習調査をもとに、暦の吉凶、霊魂信仰、民間療法、運勢判断などの迷信・俗信が、地域・年齢・性別・職業によってどの程度信じられているかを分析する。原田種雄・今野圓輔・赤松金芳らが分担した九章からなり、第九章に全国から集めた縁起・言いならわしを禁忌・民間療法・卜占・たたりなどに分けて収める。