代掻きを手伝った成田の鼻取り地蔵
どんな伝承か
成田ムラの中央から南へ六百メートルほどの畑の中に、西を向いた地蔵がある。昔はムラの北三百メートルほどの字地蔵堂に安置されていた。ある年、この地蔵の祭り用の田を作っている施主が、馬を相手に一人で代掻きをして難儀していると、笠をかぶった伊勢参り姿の男が現れて馬の鼻取りを手伝ってくれた。おかげで仕事ははかどり、夕方までに田植えを終えた。礼に夕食を振る舞おうと探しても姿がない。翌日、方々を探すと、地蔵堂の中の地蔵が泥にまみれ、笠をかぶって立っていた。昨日の男とそっくりなので、地蔵が助けに来てくれたのだと拝んだ。以来これを鼻取り地蔵と呼び、頭巾や前垂れを供えて参ると夜泣きが治るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鏡石町史 第4巻 民俗編(現代(町史民俗編))
福島県鏡石町の昔話と伝説。孤山の狐に化かされ一晩中桑畑をめぐらされた話、伐ると病気になる愛宕様の楓、大風に枝がすれ合い二晩燃えた太子の杉、股下から覗くと蜃気楼が見える不時沼、乳を授ける乳石大明神、伊勢参り姿で代掻きを手伝った鼻取り地蔵、病魔を退散させる宝泉院の大般若経、馬を落とす大日碑、石の根を掘った祟りなど、神木・霊石・地蔵の霊験と祟りを収める町史民俗編。