賽の河原から呼び戻された鳥取の老婆
どんな伝承か
鳥取市で、一度息を引き取ってから生き返った老婆の話。向こうに菊の畑が広がり、そのかたわらの賽の河原で子どもたちが、おばあさん、おばあさんと手招きするので、そちらへ歩いていった。すると背後からも、おばあさん、おばあさんと呼ぶ声がする。振り返ったとたんに生き返ったのだという。後ろで呼んでいたのは、臨終の枕もとで身内が呼びかけた声であった。それで老婆は、死ぬときには本当に名を呼んでもらうものだと話していたと伝わる。
原典より
後のほうで呼んでいたのは、臨終のときに肉親が枕頭で呼んだ声であることは言うまでもない。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。