程久保村の藤蔵に生まれ変わった勝五郎
どんな伝承か
武蔵国多摩郡中野村の百姓源蔵の次男勝五郎は、九歳になった文政六年の正月七日、姉に向かって、姉さんはどこからこの家へ来たのかと尋ねた。問い返されると、自分は程久保村の子で、一度死んでからまたここへ生まれてきたのだと答えたという。母に叱られて打ち明けたところによれば、前の名は藤蔵、父は百姓の久兵衛で、六つで死んで桶に納められ、埋められる際に白髪の老人に手を引かれて薄暗い所へ行き、三年たってこの家の垣根から入ったのだという。同じ月の二十日に母と程久保村を訪ねると、勝五郎は先に立って前世の家へ駆けこんだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。