畑荒らしの牛が石になった牛神さん
どんな伝承か
吉田町の甲山の麓に、牛神さんと呼ぶ祠がある。四本柱に屋根があるだけの簡単なもので、中に牛が坐った形をした大きい石があり、鼻に当たるところに鼻ぐりが通してある。昔、どこからともなく大きな牛がやって来て農家の畑を荒らし、麦や栗などを食べては逃げるので、どの家でもたいへん困っていた。ある時、百姓が畑に出てみると、ちょうどその牛が栗を食べている最中だったので、部落の人に知らせて大勢で牛を捕らえた。しかし天神様の牛に違いないということになり、宮を建ててここに繋いでおいたところ、その牛はみるみる石になった。それで今も牛神さんとして祀っていると伝える。
原典より
ところがその牛はみるまに石になったので、それで今に牛神さんだといって祀っている。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。