親不孝者を閉じこめるこんぐり岩
どんな伝承か
甲田町小原にある大土山は、高田郡と双三郡の境にそびえる大きな山で、頂上には南無阿弥陀仏と刻んだ念仏岩があり、昔から僧が登って修行した所だという。山中のこんぐり岩には人がくぐり抜けられる穴があり、大人も子どもも男も女も通れるが、悪人や親不孝者が入ると急に穴が狭まって出られなくなるといわれる。近くには畳岩という平らで広い岩もある。そこから西へ十町あまり行った山上には鳥の池があって深さを知る者はいない。昔、鹿を追った猟師がこの池に沈んだが、ずっと後になって鹿と猟師が江の川に流れ出たという。
原典より
この山にこんぐり岩というのがあって人がくぐって這入れる穴があって、大人でも子供でも男でも女でもくぐられるが悪い人が入ったり親不孝者がはいると急に穴が狭くなって出られなくなるといはれている。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。