雄狐を食った家に泣いて来た雌狐
どんな伝承か
百二、三十年ほど前、熊田町の日野川寄りは竹藪や草原が続く人気のない所で、狐や狸、兎のすみかだった。ある日、源次という男が草原で大きな雄狐を見つけ、忠三郎と治太夫を呼んで三人で竿や鍬で打ちすえて殺した。その夜、源次の家で狐を料理して食べていると、明け方に雌狐が窓の上からのぞき、泣きながら源次、うまいかと言った。源次がお前も食ってやると怒鳴ると、狐は泣く泣く逃げた。そのころから、若い嫁がはだしで泣きながら源次の家の方へ行くのを毎晩見たと近所の女房が語った。以来、三人の家はお稲荷さんの家と呼ばれるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。