切り株に注射させた四方谷坂の狐
どんな伝承か
昔、四方谷坂には狐がたくさんすんでいて、人をだまして困らせたという。あるとき、吉谷の医者のもとへ夜中に若い男が来て、四方谷の三吉が病気なので早く来てほしいと頼んだ。医者はすぐに坂を越えて出かけ、三吉に注射をした。たまたま坂を通りかかった人が見ると、医者は大きな木の切り株に注射をしている。それは人ではなく切り株だと声をかけると、医者はまた狐にだまされたかと苦笑したという。この坂ではこうしたことがたびたびあったとのことである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。