神託にはじまる佐女川神社のみそぎ
どんな伝承か
天保二年正月十七日の真夜中、神社守が、わが神体を清めよ、さすれば不漁不作の続く木古内もきっと豊漁豊作になるであろう、との告げを受けた。当時、社はすっかり荒れたままになっていた。朝になると神社守は、まず自分の身を清めてからと考え、素裸で川に入り、氷を割って何度も水をかぶった。それから御神体を捧げて浜へ向かうと、佐女川の川尻に大きな鮫が波に打たれて横たわっていた。神の使いかもしれぬと考え、そのままにしておいたという。御神体を海につけて清め、もとの場所へ戻したところ、その年の木古内は告げのとおり豊漁豊作であった。以来、毎年みそぎを行うようになったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。