蛙が教えたヤズ山の薬の湯
どんな伝承か
明治の末期、三十年代のことだったかと思うが、その山へ働きに行っていた人が通りかかると、二間ほど離れた所に三尺五寸か四尺ほどの窪みがあり、そこに水が噴き出していた。見ると、大きくてごろりとしたひき蛙が、片方の足を痛めて泳いでいた。これが薬に効くのでこのガマが泳いでいたのだろうということで、その水で手足を洗ったり、何か薬用があるのではないかとその水を汲んできたりした。子どもらの頭に出る毒性のガンペやデモノを、その水を湯にして洗ってやると、すぐにかさかさと乾いて二日ばかりで治ったという。
原典より
明治の末期が、三十年代のごどだったがど思うんだが、その山に働ぎに行ってる人が、何がこう通りかがったら二間ぐらい離れた所に、今でも三尺五寸か、四尺ぐらいの窪みがあって、そごに水が噴き出してるっとゆうごとで、見だらそごに蛙が…—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。