七日で癒えた鶴が教えた湯
どんな伝承か
むかし一羽の鶴が空高く舞い来て、まず丘の上の松に止まり、やがて川岸の草叢に下りて憩うようになった。よく見ると、この鶴は脛に傷を負っていた。鶴は夜になるとまた丘の松まで帰り、翌日は朝早くから同じ草叢に来て憩う。こうすること七日にして傷はすっかり癒え、鶴は悦然として空高く舞い上がり、どこへともなく飛び去った。村人が不思議に思って草叢へ行ってみると、そこに温泉が湧き出ていた。そこでこの湯を鶴の湯と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。