馬ごと担いで礼をした六之丞
どんな伝承か
昔、有屋に六之丞という恐ろしく力の強い男がいた。ごく普通の百姓であったが、馬に米俵を積んで山道を行くとき新庄の殿さまの行列と出会い、道を譲る間もなく馬の四本足を担いだままおじぎをして通した。殿さまはたまげてこの男を召し抱えたという。やがて国々の力持ちが集まって相撲をとることになり、秋田からは力の神の三吉さまが大江山と名のって出たが、鬼の名に負けて六之丞に敗れた。その夜、旅籠に泊まった六之丞は闇から名を呼ばれ、翌日は風呂に入っていると小さな男が湯船ごと片手で持ち上げて掃除をした。三吉さまに違いないと恐ろしくなった六之丞は、旅籠から夜逃げをして負けたのだと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。