流された神実と米郷の小祠
どんな伝承か
昔、会津米沢の市嶋氏に一人の娘があり、越後弥彦の漁家に移り住んだ。娘は稚児を可愛がったので、ある日、漁家が子を預けて漁に出た。黄昏に帰ると家は静まりかえり、探すと稚児は血を吸い取られて死んでおり、娘の姿はどこにも見えなかった。漁家は常に信仰していた神祠が変事を告げなかったことに憤り、神実を引き出して舟に乗せ流した。神実は佐渡国二見村大字米郷に漂着し、村の嘉十郎ほか五名に見つけられて小祠に祀られた。霊験があらわれたので東野村の武右衛門が請い受けて的場に安置し、のちに今の地へ遷したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。