本物の行列を笑った狐の最期
どんな伝承か
むかし、佐渡の狢が伊勢参りの旅に出て、道中で狐と出会った。互いに自慢話を始めるうち、狐が加賀の殿様の行列に化けて見せると、狢は立派なものだと手を打って感心した。そこで狢は、今度は佐渡へ来い、佐渡の殿様の行列を見せてやろうと誘った。約束どおり佐渡へ渡った狐の前に、やがて行列が現れる。狐は、こんな貧弱なものかと本性を現して笑ってしまったが、それは化けたものではなく本物の殿様の行列であり、狐はその場で家来に斬り殺されてしまった。そのため佐渡には狐が育たないのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。