鉢の木を焚いてもてなした常世
どんな伝承か
旅の僧が山本の里で大雪に遭い、貧しい農家に一夜の宿を請うた。夫婦は栗飯でもてなし、薪も尽きたので秘蔵の鉢の木の梅・松・桜を折って火にくべ、暖を取らせた。素性を尋ねられた主人は、一族に所領を横領されて落ちぶれた佐野源左衛門常世だと名乗り、鎌倉に大事があれば真っ先に馳せ参じる覚悟だと語る。僧はやがて去ったが、その正体は最明寺入道北条時頼であった。のちに軍勢が召集されると常世は痩せ馬に鞭打って駆けつけ、本領と三つの庄を賜ったという。
原典より
ある旅僧が山本の里(今の葛生町)で大雪にあい、ある貧しい農家に一夜の宿を請うた。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。