釣天井の秘密を告げた与五郎の亡霊
どんな伝承か
三代将軍家光の弟、駿河大納言忠長の幼少時の守役だった本多正純は、忠長を将軍に立てようと図って果たせずにいた。寛永十三年四月、家光が家康の七回忌のため日光へ参詣し、帰路に宇都宮城へ一泊すると決まる。正純は老臣河村靭負と謀って城内に釣天井を仕掛け、秘密が漏れぬよう大工を城外へ出さず、工事が済むと全員を殺して城中の古井戸へ投げ込んだ。ところが、名主植木藤右衛門の娘お稲に会うため抜け出していた大工与五郎の亡霊が事の次第を告げ、お稲は書き置きを残して後を追った。父が遺書と絵図面を将軍の行列の伊井掃部頭へ訴え出たため、家光は城へ泊まらず難を逃れ、正純は捕らえられて処刑されたという。
原典より
三代将軍徳川家光の弟に、駿河大納言忠長という人がいました。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。