高射砲陣地跡の桜の下に立つ黒い兵隊
どんな伝承か
昭和二十年四月ごろ、本土空襲に来た米軍の艦載機ロッキードが、宇都宮の中島飛行機製作所をねらって西の方角から十数機の編隊で襲いかかった。西川田町の高射砲陣地から撃ち上げた弾が命中し、一機が陣地に墜落した。その後、陣地の跡に満開の桜が咲くころ、その木の下に黒い兵隊の姿が見えるようになった。回答者が供養をしたところ、その姿は現れなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。